Exchange




Prowl 「何度言っても無駄のようだな、マイスター副官。」

Meister「無駄なこ とはないさ。ただ、臨機応変に対処するのがベターなケースもあるってことだよ。」



P「それも何度も聞いたぞ。なんだったら回数を言ってやる。
  ミッション中にわたしの指示や制止を無視して危険を冒したのは今回で累計…」

M「タンマ、タンマ!まさ か本当に数えてたのか?…そんな事だといつか胃に穴が開くぞ。」

P「ああ、その言い回しはナンセンスだ。我々は人間とは構造が異なるのだ から。」

M「でもストレスは溜めて るだろう?」

P「好きで溜めているような言い方はよせ。」

M「それはそうとプロー ル、ミッション中に君の言いつけを破ってわざわざ危険な賭けに出るのには
  それなりの事情があるってことを忘れないでくれよ?」

P「お前は短気過ぎるんだ。」

M「君からすれば大抵は短 気だと思うがね。おれだって君の考えは理解しているつもりなんだよ。」

P「…それはわたしとて同じだ。お前は前線にいて、わたしは指令室にい る。そういうことだ。」

M「おれは単独任務も多い からね。どうしても自分のペースとタイミングで進めたくなるんだよ。
  でも君は全体の均衡を取るのが仕事だ。…かなり守備寄りのね。」

P「防御面を優先するのはやむを得ないだろう。相手は我々より戦闘向きな のだ。
  こちらの作戦が失敗した場合のケアや代替策に至るまで、ありとあらゆる事態に備えておく必要がある。
  お前には杞憂だと思えるかもしれないが。」

M「必要性は感じるさ。実 際その守備戦略で上手く回っているんだから、どうこう言うつもりもないよ。
  君は戦略家として軍全体の安否を預かった上で打開策を講じなければならない訳だし、勿論、その職務を全うしている。
  そのせいでいつも膨大なデータを抱え込んでいるのは仕方がない。」 

P「…いちいち引っ掛かるな…」

M「まあまあ。そんなにし かめっ面しても何も出ないよ?
  ちょっと乱暴な結論だけどさ、多分これはおれの性質的な問題なんだろうね。」


P「…恐ろしいほど強気なところか?」


M「ハハハ、そうそう。危 なっかしいって、君にはよく注意されたなぁ。」

P「いま正にその最中なんだが…少なくとも注意を受けている自覚はあった のか。」

M「おれは作戦を成功させ る事しか考えないんだ。結果的にミスする事だってあるけど、
  そのときはどうやって取り戻すかを考えるまでだからね。
  だってさ、成功させるのが前提ならば、失敗すること自体がイレギュラーだろう?
  イレギュラーな事はいくら考えてもイレギュラーだ。そう思わない?」

P「感心した。相変わらず強引な思考だな。」

M「呆れたかい?」

P「いいや。既知の事実だよ。前線にいるのであれば、そのほうが効率が良 いのは理解できる。
  お前は前だけ見ていろ。」

M「んん?じゃあ何で怒っ てるんだい?」

P「心外だな。わたしは怒ってなどいない。」



M「…あ。心配してくれている訳か。」


P「……」

M「違った?」

P「…間違いではない。」

M「ふふふ…プロール、君 がこれ以上、頭痛に悩まされない為にひとつ言っておこう。」

P「頭痛?わたしがいつ」

M「端から見て危なっかし いくらい、おれが強気に前を向けるのはね、
  君が全体を見てくれているっていう絶対的な確信があるからなんだ。」

P「それが危なっかしいと言っているんだ。」

M「あれ…いまのプレッ シャーになった?」

P「まさか。上等だ。」

M「そうこなくっちゃ!流 石はプロールだねぇ!」

P「…はぁ…」

M「心配ないさ。考えてご らんよ。君の後ろ楯があるから、おれは前線の任務に集中できる。
  つまり、君の戦略がおれをいつも助けてくれてるってことにはならないかい?」



P「…お前らしいな。」


M「図々しいところが?」

P「安心しろ、それは長所だ。もっとも、大して気にしてなどいないだろう がね。」

M「それはどうも。…とこ ろでプロール、もうお説教しないのかい?」

P「説教?あのな……
  仕方がないよ。かく言うわたしも、お前のその『強気』を切り札にしているのだから。」




END














『応酬』。
プロールとマイスターの信頼関係のお話でした。これ関連のネタ好きだな自分…(^^;
短気な副官に気長な戦略家、性格も考え方も違うふたり。
一見ぶつかり合っているようだけど、結局は立場が違うから手段も違うよね、と認め合っている。
お互いに依存し合っている部分が大きいんじゃないかなーと思っています。

マイスターは例え自分で吹っかけたのが原因であっても、プロールの小言は適当に流すか
大した内容じゃなさそうなときはスパッと遮断してます。プロールは主に聞き手。


ところで今回、一人称・呼称を変えてみましたがいかがだったでしょうか。
マイスターは劇中で「おれたち」とか言っていたので採用。
プロールは相手を基本「きみ」って呼ぶけど親しみを込めてあえて「おまえ」でいってみました。
次回のプロマイ本は、この呼び方で描くつもりです。この小話の内容と通じる部分があるので、
ちょっと試してみました。
プロールのものすごく気長で執念深いところとか、お互いへの想いにもスポットを当てた内容になります。







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